先日、与党で「2009年度の税制改正大綱」が決定されましたが、その中の目玉といえば何と言っても「過去最大」という言葉がやたらに強調されている「住宅ローン減税」でしょう。
一言で言いますと、2009年〜10年に居住開始された方は、年末の住宅ローン残高の1%分の税金を10年間控除するというものです(一般住宅の場合2011年入居から対象残高が縮小します)。
一般住宅の購入は最大500万円ですが、長期優良住宅の購入であれば最大600万円まで広げられています。さらに従来と最も違う点は、所得税からの控除に留まらず、引ききれない場合は住民税からも控除するところです。
低迷する景気を刺激するためのものですが、本当に改正の効果が出てくるものなのか?
一般家庭にとってどれぐらい有難いものなのか?
政府から見た数字ばかり並べられており、500〜600万円の数字は甚だ疑問は感じられるでしょう。なら一般家庭にとって現実にどれぐらいの減税規模になるのか?
生活者目線での検証が必要ですね。
モデルケースを設定して試算してみました。
○家族構成(現在は3人家族)
夫:32歳 会社員 妻:30歳 専業主婦
第1子:3歳 第2子:2年後に誕生するものとします。
○購入した物件:一般住宅(長期優良住宅ではない)
○住宅ローン
・初回返済日:2009年2月27日、借入額:3000万円、金利:全期間固定2.8%
返済期間:35年 繰上げ返済は2年後から2年毎に100万円を行うものとします。
○夫の収入
・ 現在の年収は500万円、毎年2%ずつ増加。
(参考までに36歳時点は概ね540万円、41歳時点は600万円)
・ 社会保険料控除は2009年2月時点の料率を適用して便宜上同じ料率が続く。
・ 所得税および住民税の税率や計算方法も上記と同じルールとする。
・ 生命保険料は年間10万円以上支払っている。
会社員のご家庭ではありえるケースですよね。では試算した結果をご覧ください。
上記の表(文字が細かくなり見辛くて申し訳けないですが...)をご覧ください。
右端から4番目→3番目→1番目の列にご注目ください。
10年間での毎年の控除額、そして一番上が控除総額です。以下全て概算で表記しますが、所得税控除?の総額が81.5万円→住民税控除?の総額が97.5万円→?+?は179万円になります。
これだけでは今回の改正でどれぐらい減税が上乗せされたのか?は判らないですね。
同じ条件でこの11月に入居された方の住宅ローン減税規模との比較をしてみたいと思います(住宅ローン減税は1〜6年目は残高1.0%、7〜10年目は0.5%の制度を選択)
上記の表を見ていただくと、所得税控除?の総額が81万円→住民税控除?の総額が0万円→?+?が81万円になります。気が付かれたと思いますが、今回のご家庭のケースでは住民税からの控除部分が差額となって表れています。
もう少し検証を続けてみましょう。
収入が多ければ多いほど税金を多く払っているわけですから、その差が広がるという感覚を持たれていると思います。その点も考察してみました。表の掲載は割愛させていただきますが、結果のほうだけを申し上げますと、
年収650万円世帯の場合(他は同じ)の減税規模は、
・ 2009年入居の税制では236万円
・ 2008年入居の税制では137万円 →差額は99万円
年収800万円世帯の場合の減税規模は、
・ 2009年入居の税制では248万円
・ 2008年入居の税制では159万円 →差額は89万円
何か不思議ですね。説明が後になりましたが、税金の控除額はあくまでも住宅ローンの残高の1.0%であること、住民税からの控除の場合は9.75万円が上限であるルールにより差額が広がらないのです。
あとは、最大500万との比較をしても、先ほどのケースとは250〜300万の差があります。年間税額が50万円以上の高収入の方が、当初10年間5000万円以上の残高が続く住宅ローンを組むケース(=最大500万円が受けられるケース)は一般的な姿からかけ離れたものであることが実感いただけると思います。
だから大盤振る舞いの数字に惑わされず、一般のご家庭にとって減税の上乗せは今回述べたぐらいという目安を持っていただければと思います。
2009年入ってから購入を焦るあまり無理な住宅ローンを組んでしまうことは避けましょう。税金でもっと得をしようとする資金計画になってしまうのも本末転倒です。
長期的な家計体力を測った上でライフスタイルに適った購入が一番です。あくまでも税制での恩恵は副産物。むしろ、戻ってきた税金を我が家でどう上手に活かしていくのか?
きっちりとライフプランを立てて考えていくほうが重要だと思います。
最後に、本来の目的である景気刺激のところ、雇用や収入面についての安心感が出てこないとまったくの当て外れになるような気がしますが・・・・
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