相続時精算課税制度の選択、しっかりと判断を。

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相続時精算課税制度の選択、しっかりと判断を。


執筆者
会社名
HP
: 山下修一
: 有限会社アズ・ユアプランナー
: http://www.ayp.co.jp/

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先月のコラムにも書きましたが、3/17(月)は所得税の確定申告の締め切り日です。

17日は、もう1つの税金の申告の締め切り日であること。ご存知でしょうか?
その税金とは..「贈与税」です。

昨年1月1日〜12月31日までに、Aという方がBという方へ資産を贈与した場合、贈与税が課税される額であれば、翌年の2月1日〜3月15日(今年は17日)までに申告書を提出して、税金を国に納付する義務があります。

贈与税において、住宅取得に関する贈与の特例があることをご存知でしょうか?

以前はその制度の認知度はいまひとつだったのですが、最近ではご存知の方が増えてきたように思います。その制度は「相続時精算課税制度」といいます。簡単におさらいしておきましょう。使途目的により次の2種類で構成されています。

 (1)通常の相続時精算課税制度を使った贈与
  資金の使途目的を問わないが、
  65歳以上の親から20歳以上の子へ贈与の特例をいいます。
   ⇒贈与税が非課税の適用は 2500万円まで、
    それを越える部分は20%の贈与税が課税されます。

 (2)住宅取得目的の相続時精算課税制度を使った贈与
  資金の使途目的を住宅取得・増改築に限定し、
  親の年齢は関係なく、20歳以上の子へ贈与の特例をいいます。
   ⇒贈与税が非課税の適用は 3500万円まで、
    それを越える部分は20%の贈与税が課税されます。
(時限特例であり平成19年末で終了ということでしたが、昨年末に発表された「平成20年度税制改正大綱」によると、2年間延長される見込みです。)

今回は(2)の住宅取得目的のほうを見ていきます。一言ではこんな文章で表せます。

「親から子へ3500万円までの住宅資金を贈与は、贈与税が掛からない。」

文字通りに捉えますと、貰った人にはすごいメリットがありそうな制度ですが、実は「非課税ではなく、課税を先送りしている」に過ぎません。

将来、親の相続が発生した場合には、贈与があった資金を持ち戻した上で、相続税を再計算して、最終的には課税が決定されるということなのです。

贈与税と相続税とは補完の関係にありますので、贈与時に課税されなかった税金が相続時には課税される、贈与時に課税された税金が相続時に課税されない (贈与税は返還)ということがあります

この制度の目玉は、贈与した親が亡くなった場合に相続税が発生しない見込みであれば、生前にまとまった資産の移転が(無税で)出来ると言われています。貰う側としては、それは大変助かる!ことでしょう。

例えば、この制度を使って3000万円の住宅資金の贈与を受けたとします。そうすると、住宅ローンの借入で3000万円必要だったところを不要にすることができます。

3000万円を30年間・3%で借りた場合、支払う利息の総額は約1550万円となります。外に出て行くはずだった1550万円、そしてプラスアルファが節約できるのです(アルファは住宅ローンの諸費用:保証料・手数料・抵当権設定費用)。

子世帯の貯金がない、収入が将来増えそうもない、教育資金が負担になってくるという事情が想定されれば、制度を利用することを検討しても良いとは思います。

と・こ・ろ・が・・・

この制度は下記のような「2つのリスク」がはらんでいると考えます。

(1)税制改正リスク

  相続発生まで長期間であると、将来は相続税の計算が変わっている可能性があります。
   
   >【参考記事】11月21日の日本経済新聞の朝刊1面の見出し
   >政府税制答申 消費税を社会保障財源に、増税は09年度以降
   >・所得税:配偶者控除、扶養控除の廃止
   >相続税:相続税の課税範囲拡大
 
 → 課税範囲の拡大については、相続税の基礎控除が縮小されることが考えられます。
    同じ財産でも将来は相続税が掛かるようになるかもしれません。

(2)相続税が発生するリスク
 
  例えば、普通は贈与した父(最年長)が一番先に亡くなるという将来のシナリオを
  想定しておられる方が多いのではないでしょうか?
  でも日本は世界で一番の長寿国であることを考えてみてください。
  実際に亡くなる順番が年齢順とは限らないと思いませんか。
   
極端な話、相続人が母と子3人(1人は制度で贈与された子)という想定だったのが、時を経て、実際の相続人は贈与された子1人だけの場合もありえます。
   
 → そうなると、懸念されることが2つ浮かんできます。
    
   ・相続人が減ると、非課税の金額である基礎控除が減ってしまうこと
    【参考】 基礎控除額 = 5000万円 + (1000万円×法定相続人の数)
  
   ・母が亡くなる、独身である兄弟姉妹が亡くなる、等の相続を経ていると、
    父の財産が想定以上に膨らんでしまうこと(生命保険金や不動産等)
   
相続による財産継承のシナリオは、可能性の大小はあれ、実は数え切れない
パターンが考えられるのです。

以上、(1)と(2)のどちらか、または重なってしまうと、相続時精算課税制度を選んだことが思惑外れになってしまうことが有り得ます。

よって、一般的に言われている相続のシナリオだけを鵜呑みにして、 「私の場合は相続税なんか絶対に掛からない!」という安心感を持たないようにしていただきたいと思います。

『税制に頼ってしまう住宅資金計画』

そこにはリスクが潜んでいることを頭に置き、充分な理解のもとで選択してください。

最後に・・もう一度釘を刺しますが、

「相続時精算課税」を選択すると「暦年課税(年間110万円迄の贈与が非課税)」に戻れないなど注意点が多いので、税務署や税理士の先生にご相談してからご利用していただく必要があると思います。



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