「預金連動型住宅ローン」特徴と注意点

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「預金連動型住宅ローン」特徴と注意点


執筆者
会社名
HP
: 山下修一
: 有限会社アズ・ユアプランナー
: http://www.ayp.co.jp/

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民間の住宅ローンは各銀行間でほとんど差がありませんでしたが、大きなシェアを占めていた住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)が融資業務を縮小するとともに、ここ数年、各銀行間で特徴のある住宅ローンが開発されてきました。

ネットだけの手続きにより低金利を売り物にしている住宅ローン、フラット35と競争力がある長期固定金利型住宅ローン、一定の条件を満たすと金利を優遇する・保証料を無料にする住宅ローンなど様々なものが出てきています。住宅ローン大競争時代に突入して、お客様のライフプランやニーズの多様化に応じた商品を如何に提供できるかが勝負の分かれ目になっています。

その中で、なんといっても個性的な住宅ローン商品と言えば「預金連動型住宅ローン」だと思います。時折、住宅ローンを一通り勉強されたご相談者から「本当のところはどうなんでしょうか?」とご質問を受けることがあります。初めて名を聞いた方もいらっしゃると思いますので、ご紹介しておきたいと思います。

住宅ローン残高のうち、預金残高と同額までの部分は住宅ローン金利がゼロになるのが基本的な仕組みです。預金が増えていけば、金利が掛からない部分が増えていきますので、月々の利息支払額が減らすことができるというものです。

現在のところ「預金連動型住宅ローン」を取り扱っている銀行は数行ありますが、そのパイオニアであり、代表的なのは東京スター銀行の「スターワン住宅ローン」という商品ですので、今回その特徴を見ていきます。

1.繰上げ返済と同じ効果
 預金残高部分のローン金利は掛からないので、実質的に繰上げ返済ができる部分として見なすことができます。

2.住宅ローン減税効果
 (預金残高部分に関係無く)住宅ローン残高の部分が住宅ローン減税の対象となるので、繰上げ返済の効果をキープしながら、減税の効果を受けられます。

3.万が一のことがあっても預金は残る
 団体信用生命保険から住宅ローン残高が支払われるだけで、預金残高は残された家族にそのまま残ります。

4.資産運用としての効果
 預金残高部分は「住宅ローン金利の節約分+住宅ローン減税分」の運用ができたと見なせます。

5.保証料が無料
 無条件で保証料が無料。一般的に35年返済の場合は1000万円あたり20万円前後の前払い保証料がかかりますから、その分の節約効果があります。

このように一見して良いことばかりのように見えますが、注意すべき点はいくつかあります。

1. 円普通預金残高には金利が付かない
この点は確かに気にはなりますが、近年の普通預金の金利水準が0.2%前後で推移していることから、住宅ローンの金利節約効果のほうが大きいと思います。ただし、将来金利が上がるとこの効果は縮小していく可能性があります。あと、預金の部分は外貨普通預金でもOKでこちらは金利が付きます。

2. 住宅ローンの金利は一般的に高め
 2003年の発売当初から3%を越える金利が設定されていました。2008年11月現在でも変動金利は3.00%、固定金利10年は3.70%です。しかし、最近はキャンペーンを行っており所定の条件を満たせば、1.00%の金利優遇を受けられるようになっています。

3. 一定のコスト金利が掛かる
メンテナンスパックという名称で年率0.300%/年率0.504%/年率0.702%の団体信用生命保険料などを含んだコストが掛かります(どれかを選択する)。ただし年率0.300%のように団体信用生命保険が付かない選択をした場合、法定相続人を連帯保証人とする必要があります。メンテナンスパックには「返済休暇(後述)」の利用料、固定金利の選択料、一部および全部繰上げ返済の手数料が含まれています。

では、いったい住宅ローン残高に掛かる実質的な金利はいくらなのかということが気に掛かりますね。それは下記の式で表せるのではないかと思います。

?住宅ローン金利×((住宅ローン残高−預金残高)/住宅ローン残高) 
?メンテナンスパック金利
⇒ 実質的な金利(年利)= ?+?


たとえば、住宅ローン残高=2000万円、預金残高=1000万円、変動金利=3.00%、メンテナンスパック金利=0.504%の場合を見ていきましょう。
 ?3.00%×((2000-1000)/2000)=1.50%
 ?0.504%
   ⇒ 実質的な金利 = ?+? =2.004% 

他行の変動金利型で2%を切った水準が適用されることが多い昨今では、やや割高になってしまうという結果になります。

しかし、スターワン住宅ローンでもキャンペーン優遇で変動金利=2.00%が適用できた場合、上記の式で当てはめた実質的な金利=1.504%になり、他行の変動金利型としのぎを削るようになってきます。

いかがでしょうか?他行の住宅ローンと比べて、金利の点で一概に有利か不利かは言えないことがわかりましたね。

預金部分に金利が掛からない仕組みのほうに気が取られてしまい、実質的な金利がいくらになるかを残高の状況を元に計算してみることが重要です。上記の式からもわかるとおり、住宅ローン残高=預金残高となっても、実質的な金利はゼロにはならず、メンテナンスパック分の金利が掛かることを押さえておきましょう。

最後はメンテナンスパックに焦点が当ってしまいましたが、その中にある「返済休暇」といって、一時的に返済が厳しい場合、元本部分を1円まで圧縮できる機能が何回でも最長3年間取れることはなかなかユニークであり家計に安心感を満たせるものだと思います。

以上のように見てきましたが、消費者に対して、

? 返済期間中は何かのために資金は残しておきたいというリスク対策
? 金利が節約できたお得感
? 住宅ローン減税が受けられる効果

のところを上手く訴えた商品ですね。

また、個別の事情には依りますが長期間にわたり返済の仕方を工夫していけば、一般的な住宅ローンでは実現できないメリットが見出せるとは思います。



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